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大阪地方裁判所 平成10年(ワ)13339号 判決 1999年3月23日

大阪府松原市西大塚一丁目四番一〇号

原告

株式会社

フジモト・ダイアグノスティックス

右代表者代表取締役

藤本邦介

右訴訟代理人弁護士

山本忠雄

安部朋美

大阪市中央区平野町二丁目一番二号

被告

日本臓器製薬株式会社

右代表者代表取締役

小西甚右衛門

右訴訟代理人弁護士

品川澄雄

吉利靖雄

右補佐人弁理士

村山佐武郎

主文

一  本件訴えを却下する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  本件当事者間の大阪高等裁判所平成七年(ラ)四三八号仮処分却下決定に対する即時抗告申立事件につき平成九年一一月一八日になされた別紙1(決定主文)中、一の3の作為命令は無効であることを確認する。

2  訴訟費用は、被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨。

第二  当事者の主張

一  原告の主張(請求原因)

1  (当事者)

原告及び被告は、ともに医薬品等の製造販売を業とする会社である。

2  (本件決定)

(一) 本件被告を抗告人(債権者)、本件原告を相手方(債務者)とする、両者間の大阪高等裁判所平成七年(ラ)第四三八号仮処分却下決定に対する即時抗告申立事件について、大阪高等裁判所は、平成九年一一月一八日、別紙1のとおりの決定をした(以下、この事件を「本件仮処分事件」、別紙1の決定を「本件仮処分決定」、別紙1の主文中一の3の決定を「本件取下命令」という。)。

(二) 本件仮処分事件は、被告が原告に対し、原告が別紙1の目録(三)記載の方法を用いて別紙1の目録(一)記載の抽出液(FN原液『フジモト』)を製造し、この抽出液を用いて別紙1の目録(二)記載の製剤(ローズモルゲン注)を製造販売しており、それが被告の有する別紙2(被告特許権目録)記載の特許権を侵害すると主張して、別紙1の目録(一)の抽出液の製造の差止め、別紙1の目録(二)記載の製剤の製造販売の差止め等の仮処分を求めたものであり、これに対して原告は、原告が用いている方法は別紙1の目録(四)記載の方法であると主張して争ったものである。

3  (本件取下命令の無効事由1・内容の不明確)

本件取下命令では、健康保険法に基づく薬価基準収載申請の取下げを行う対象として、単に「別紙目録(二)記載の製剤について」とのみ特定されているにすぎないが、以下のとおり、これでは仮処分として命じた作為の内容が明確に特定されておらず、本件取下命令は、保全執行の債務名義としての効力を有しない。

(一) 「別紙目録(二)記載の製剤」と特定するだけでは、本件仮処分事件において原告が使用する方法として被告が主張し、裁判所が認定した別紙1の目録(三)記載の方法を用いて製造された製剤であるのか、原告が主張した別紙1の目録(四)記載の方法を用いて製造された製剤であるのか不明確である。原告が薬価収載申請をした製剤は、別紙目録(四)記載の方法を用いて製造された製剤であるから、その取下げを命じる以上、「別紙目録(二)記載の製剤」とは、別紙1の目録(四)記載の方法を用いて製造された製剤でなければならない筈である。

(二) 仮に「別紙目録(二)記載の製剤」というのが、別紙目録(三)記載の方法を用いて製造された製剤を指すものであるとしても、別紙目録(三)記載の内容は、試験方法が記載されているだけで、その抽出方法の特定もなされていない。

4  (本件取下命令の無効事由2・執行力の欠如)

本件取下命令は、原告に対し、薬価基準収載申請の取下げの意思表示を命じるものであるが、仮処分によって意思表示の擬制をすることはできないと解すべきであるから、本件取下命令の仮処分は、民事保全法五二条によって準用される民事執行法一七三条一項の適用を受けない、いわゆる「任意の履行に期待する仮処分」にすぎない。

したがって、本件取下命令は、債務名義としての効力を有するものではない。

5  (本件取下命令の無効事由3・保全執行期間の途過)

仮に本件取下命令が、債務名義としての効力を有するとしても、同項にいう薬価基準収載申請の取下げは、民事執行法一七三条一項が準用される意思表示の擬制をもって執行できる義務には当たらない。同項が準用されるためには、意思表示の擬制により観念的に法律効果を発生させれば目的が達成されるものであることが必要であるが、薬価基準収載申請の取下げは、取下申請の擬制により何ら直接的な法律効果が発生するわけではなく、薬価基準の収載から削除されることとなる事実上の効果を有するにすぎない。

したがって、被告が本件取下命令の保全執行を行うことがあり得るとしても、その執行は、いわゆる間接強制の決定を得ることになる(民事保全法五二条によって準用される民事執行法一七二条)が、被告は、本件取下命令正本の送達を受けた平成九年一一月八日から二週間(民事保全法四三条二項)を経過しても間接強制の申立てを行っていない。

したがって、本件取下命令は、右期間の途過により、保全執行の債務名義としての効力を喪失している。

6  (まとめ)

よって、原告は、被告に対し、本件取下命令が無効であることの確認を求める。

二  本案前の答弁に関する被告の主張

1  (手続選択の違法)

仮処分決定に対する不服申立ては、もっぱら民事保全法に定められている手続に従って、保全異議又は保全取消しの方法によるべきであって、本件のような無効確認訴訟によることは許されない。

2  (確認の利益の欠如)

本件取下命令による仮処分決定は、「意思表示を命ずる裁判」(民事保全法五二条により準用される民事執行法一七三条一項及び民法四一四条二項)に該当し、裁判で命じられた意思表示を債務者が行ったのと同一の法律効果を創出することによって、その実現が図られることとなる。本件取下命令による薬価収載申請取下げの意思表示は、具体的には、債権者(本件被告)が右仮処分決定を厚生省に提出することによって、右薬価基準収載申請の取下げがなされたものとして取り扱われる。そして、本件取下命令の正本は、平成九年一一月一八日に被告に送達され、それから二週間以内の日である同月二六日、被告は右正本を厚生省に提出した。

したがって、本件取下命令は既に執行を終了しているのであって、本件訴訟は過去の事実についての確認を求めるものにすぎず、確認の利益を欠くものである。

三  本案前の答弁に関する原告の主張

1  (手続選択の違法について)

原告は、本件訴訟において、本件取下命令に対する不服を申し立てているわけではない。本件訴訟の訴訟物は本件取下命令の執行力の存否であり、本件取下命令の当否ではない。したがって、仮処分決定に対する不服申立手続である保全異議又は保全取消しの手続によるべき場面ではない。

2  (確認の利益の欠如について)

(一) 請求原因5のとおり、本件取下命令を、民事執行法一七三条一項に規定する方法により執行することはできない。したがって、被告が本件取下命令の正本を厚生省に提出したとしても何らの法的効果も生じない。

(二) 本件仮処分決定を受けて、被告が原告の取引先等に対し、原告の「ローズモルゲン注」自体が特許権を侵害するかのような陳述を行っているため、原告は、原告にとって重要な商品である「ローズモルゲン注」の製造販売が困難となって、多大の損害を被っているばかりでなく、本件取下命令の内容が明確に限定されていないために、原告の「ローズモルゲン注」の薬価基準収載は、現在、経過措置という不安定な状態に置かれ、そのために原告の権利行使が阻害されている状態にある。本件取下命令のように、現実の執行申立てや執行行為がなく、意思表示の擬制による執行の可否だけが問題となる場合には、仮処分債務者の方から確認の訴えを提起する以外に債務名義の解釈を確定させる方法はない。したがって、本件訴えには確認の利益がある。

第三  証拠

本件訴訟記録中の書証目録の記載を引用する。

理由

一  本件訴訟の請求の趣旨は前記のとおりであって、本件取下命令の無効確認を求めるものである。

ところで、裁判に重大な瑕疵があるために、裁判がなされても、その内容的効力を有しないと解すべき場合があり得ることは否定し得ないところであり、債務者に一定の作為を命じる仮処分命令においても、作為義務の内容が特定されないときは、執行不能な仮処分命令として無効とされることもあり得るところである。他方、確認の訴えは、現在の権利又は法律関係をめぐる紛争を有効適切に解決するために必要な事項を確認の対象とするのでなければ、確認の利益を欠くものと解される。

二  そこで、現在の権利又は法律関係をめぐる紛争を解決するために、本件取下命令の無効を確認することが有効適切であるといえるか否かを検討する。

1  甲1ないし4、乙1ないし4及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

(一)  被告は、原告に対し、原告が別紙1の目録(三)記載の方法を用いて別紙1の目録(一)記載の抽出液(FN原液「フジモト」)を製造し、この抽出液を用いて別紙1の目録(二)記載の製剤(ローズモルゲン注)を製造販売しており、それが被告の有する別紙2(被告特許権目録)記載の特許権を侵害すると主張して、<1>別紙1の目録(一)記載の抽出液の製造の差止め、同目録(二)記載の製剤の製造販売の差止め、同目録(二)記載の製剤の薬価収載申請の取下げ等を求める訴訟(大阪地方裁判所平成四年(ワ)第七一五七号事件)を提起するとともに、<2>同趣旨の仮処分を申し立てた(大阪地方裁判所平成四年(ヨ)第二八九七号事件)。

これらの事件において、原告は、原告が用いている方法は別紙1の目録(四)記載の方法であるから、原告による別紙1の目録(一)記載の抽出液(FN原液「フジモト」)の製造、この抽出液を用いた別紙1の目録(二)記載の製剤(ローズモルゲン注)の製造販売は、被告の右特許権を侵害しないと主張して争った。

(二)  平成七年六月二九日、大阪地方裁判所は、右両事件について、それぞれ、被告の請求を棄却する判決及び被告の申立てを却下する決定をした。

(三)  これに対して被告が控訴(大阪高等裁判所平成七年(ネ)第一七四三号事件)及び即時抗告(大阪高等裁判所平成七年(ラ)第四三八号事件)をしたところ、大阪高等裁判所は、平成九年一一月一八日、右控訴及び即時抗告の一部を容れ、右即時抗告事件については別紙1の主文の仮処分決定をし、右控訴事件についても同趣旨の判決をした。

(四)  原告は、右控訴事件の判決に対して上告をし、現在最高裁判所に係属中である。

(五)  右即時抗告事件の決定に対しては、原告は、保全異議を申し立てたが(大阪高等裁判所平成九年(ウ)第一三二七号事件)、大阪高等裁判所は、平成一〇年二月六日(三)の仮処分決定を認可する旨の決定をした。

また原告は、別紙1の目録(二)記載の製剤(ローズモルゲン注)は原告が製造販売している唯一の商品であるから、その製造販売を差し止められると原告の唯一の収入が断ち切られることとなると主張して、特別事情による保全取消しを申し立てたが(大阪高等裁判所平成九年(ウ)一三二八号事件)、大阪高等裁判所は、平成一〇年二月六日、右申立てを棄却する決定をした。

(六)  (三)の仮処分決定の正本は、平成九年一一月一八日、被告に送達され、同月二六日、被告から厚生省に提出された。

(七)  別紙1の目録(二)記載の製剤(ローズモルゲン注)は、従前、薬価基準(正式には厚生大臣が定める「保険医及び保険薬剤師の使用医薬品」)に収載されていたが、厚生大臣は、原告から「薬価基準収載品目削除願」を提出させた上で、平成一〇年三月二七日、平成一〇年三月厚生省告示第一〇九号(以下「本件告示」という。)により、平成一一年四月一日以降は別紙1の目録(二)記載の製剤(ローズモルゲン注)を「保険医及び保険薬剤師の使用医薬品」から除外する旨定めた。

2  原告は、内容の不明確な本件取下命令により、原告が製造販売している別紙1の目録(二)の製剤(ローズモルゲン注)が薬価基準上不安定な状況下に置かれ、原告の権利行使が阻害されている状態にあるから、本件取下命令の無効を確認する利益があると主張する。

しかし、別紙1の目録(二)記載の製剤(ローズモルゲン注)が薬価基準上前記(一)(7)のような状態に置かれているのは、本件取下命令に基づく効果ではなく、本件告示による効果であり、本件取下命令が無効とされたからといって、本件告示が無効とされ若しくは取り消され又は変更されるのでなければ、ローズモルゲン注の薬価基準上の地位が回復されるものではない。

そして、乙4によれば、従前薬価基準に収載されていた医薬品であっても、<1>供給停止事前報告により当局の了解を得たもの、<2>再評価申請をしなかったもの、<3>薬価に収載されたが発売見込のないもの、<4>取引実績が極めて少なかったものについては、薬価基準収載会社が薬価基準収載品目削除願を厚生省薬務局経済課長宛提出し、これに基づいて厚生大臣が薬価基準収載品目から当該医薬品を削除する扱いがなされているものと認められるところ、仮に本件取下命令が無効であるとしても、同じ本件仮処分決定中において、別紙1の目録(三)記載の方法を用いて製造した目録(二)の製剤の製造販売の差止めが認められていることからすれば、別紙1の目録(二)記載の製剤(ローズモルゲン注)には右<1>又は<3>に準じる事由が存するとも考えられ、厚生省が原告から薬価基準収載品目削除願を提出させたことも併せ考えれば、本件取下命令が無効とされたからといって、直ちに本件告示が無効とされ若しくは取り消され又は変更されるとはいえない。

また、原告は、本件仮処分決定を受けて、被告が原告の取引先等に対し、原告の「ローズモルゲン注」自体が特許権を侵害するかのような陳述を行っているために不利益を被っていると主張するが、同じ本件仮処分決定中において別紙1の目録(三)記載の方法を用いて製造した目録(二)の製剤の製造販売の差止めが認められていることに加え、被告は右製剤が別紙1の目録(三)の方法を使って製造されていると主張してきたのであるから、右陳述を止めるために本件取下命令の無効を確認することが有効適切とはいえないことは明らかである。

また原告は、本件取下命令の解釈を確定させるためには、本件のような無効確認の訴えを提起する必要があると主張するが、仮処分決定が無効である場合には、その決定は内容的効力を有しないことになるだけのことで、その決定の内容を明確化させることにはならないのであるから、右の点が本件訴訟の確認の利益を基礎づけることにはならない。

さらに原告は、<1>本件取下命令の性質は任意の履行に期待する仮処分であるから、本件取下命令は債務名義としての効力を有しない、<2>仮にそうでないとしても、本件取下命令の執行方法は間接強制の方法によるべきところ、本件では執行期間を徒過したから、現時点では本件取下命令は債務名義としての効力を有しないと主張するが、<1>や<2>の主張の当否について判断したところで本件取下命令の有効性自体に影響が及ぶものではなく、また、本件決定が債務名義としての効力を有しないことを確認することによって、どのように現在の権利又は法律関係の紛争が有効適切に解決されることになるのか定かでない。さらに、執行期間の徒過によって保全執行の可能性が消滅した場合には、保全の必要性に関する事情の変更として、保全取消しの手続により救済を求めるべきものである。

3  以上よりすれば、仮に本件取下命令が無効であるとしても、それを確認することによっては、現在の権利又は法律関係をめぐる紛争を有効適切に解決することはできないといわざるを得ない。

4  以上によれば、本件訴えは、確認の利益を欠き不適法というべきである。

三  よって、主文のとおり判決する。

(平成一一年一月二六日口頭弁論終結)

(裁判長裁判官 小松一雄 裁判官 高松宏之 裁判官 水上周)

(別紙1) 決定主文

主文

一 原決定を次のとおり変更する。

当裁判所は、抗告人が相手方に対して、抗告人に本決定が送達された日から

一 か月以内に一億五〇〇〇万円の担保を立てることを条件に、次のとおり命じる。

1 相手方は、別紙目録(三)記載の方法を用いて同目録(一)記載の抽出液を製造してはならない。

2 相手方は、別紙目録(三)記載の方法を用いて同目録(二)記載の製剤を製造し、販売し、販売のために宣伝、広告してはならない。

3 相手方は、別紙目録(二)記載の製剤について、健康保険法に基づく薬価基準収載申請の取下げをせよ。

4 相手方の占有する別紙目録(一)記載の抽出液及び同目録(二)記載の製剤の占有を解いて、これを抗告人の委任する管轄地方裁判所所属の執行官の保管に移す。

5 抗告人のその余の申立にこれを却下する。

二 原審及び当審における手続費用は相手方の負担とする。

目録(一)

ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚組織抽出液

目録(二)

ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚組織抽出液を有効成分とする製剤

目録(三)

別紙目録(一)記載のワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚組織抽出液を被検物質として、これに塩化ナトリウム等の電解質及びヒト血漿を加え、次いでこれにカオリン懸濁液等の血液凝固第ⅩⅡ因子活性化剤を加えて反応させた後、リマ豆トリブシンインヒビター等の活性型血液凝固第ⅩⅡ因子に対する特異的阻害剤カリクレイン生成と反応時間の間に実質的に直線的な関係が成立する時間内に加えてカリクレインの生成を停止させ、生成したカリクレインを合成基質を用いて定量する前記被検物質のカリクレイン産生阻害能測定方法。

目録(四)

A 本品を減圧乾固させてエタノールで抽出し、乾固させ、塩化ナトリウム溶液を加えて溶かし試料溶液とする。

この試料溶液に生理食塩液で希釈したヒト正常血漿溶液を加えた後、緩衝液で調製したカオリン懸濁液を加えて混和し、氷水中に20分間静置する(以上、第一次反応)。「直ちに、この反応液を、水浴中で30℃に保温した緩衝液と合成基質溶液との混液に加えて、20分間反応させた後、反応を停止させて遠心分離を行い、その上澄液の吸光度を測定して試料吸光度(AT)を求める(以上、第二次反応)。

B 一方、試料溶液の代わりに塩化ナトリウム溶液、カオリン懸濁液の代わりに緩衝液を用いて、前記の場合と同様に操作して、吸光度を測定して試料ブランク吸光度(ATB)を求める。

C 別に、カリジノゲナーゼ(別名、カリクレイン)標準品に緩衝液を加えて溶かし標準溶液とする。この標準溶液を、水浴中で30℃に保温した緩衝液と合成基質溶液との混液に加えて、以下前記の二次反応と同様に操作して、吸光度を測定して標準吸光度(AS)を求める。

D 一方、標準溶液の代わりに緩衝液を用いて、標準溶液の場合と同様に操作して、吸光度を測定して標準ブランク吸光度(ASB)を求める。

E 前記各々の吸光度につき、試料吸光度(AT)から試料ブランク吸光度(ATB)を引いた値と、標準吸光度(AS)から標準ブランク吸光度(ASB)を引いた値とを比較し、前者の値が後者の値より小さいときは、本品は規格に適合とする。

(別紙2)

被告特許権目録

一、特許権

(一) 発明の名称 生理活性物資測定法

(二) 出願日 昭和六二年九月八日(特願昭六二-二二五九五九号)

(三) 出願公告日 平成四年三月一一日(特公平四-一四〇〇〇号)

(四) 登録日 平成五年一月一九日

(五) 登録番号 第一七二五七四七号

(六) 特許請求の範囲

「1動物血漿、

血液凝固第ⅩⅡ因子活性化剤、

電解質

被検物質、

から成る溶液を混合反応させ、次いで該反応におけるカリクレインの生成を停止させるために、生成したカリクレイン活性には実質的に無影響で活性型血液凝固第ⅩⅡ因子活性のみを特異的に阻害する阻害剤をカリクレイン生成と反応時間の間に実質的に直線的な関係が成立する時間内に加え、生成したカリクレインを定量することを特徴とする被検物資のカリクレイン生成阻害能測定法。

2 カリクレインに対する合成基質を用いて生成したカリクレインを定量する特許請求の範囲第1項記載の測定法。

3 動物血漿がヒト血漿である特許請求の範囲第1項記載の測定法。

4 ヒト血漿が加クエン酸血漿又は凍結乾燥品である特許請求の範囲第3項記載の測定法。

5 動物血漿が家畜又は実験用動物の血漿である特許請求の範囲第1項記載の測定法。

6 動物血漿がウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギ、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ラット又はマウスの血漿である特許請求の範囲第5項記載の測定法。

7 動物血漿を5乃至10倍希釈して用いる特許請求の範囲第1項記載の測定法。

8 0℃乃至4℃の反応温度下でカリクレイン生成反応を行う特許請求の範囲第1項記載の測定法。

9 血漿凝固第ⅩⅡ因子活性化剤がカオリンである特許請求の範囲第1項記載の測定法。

10 電解質が一価の正電荷イオンを含む化合物である特許請求の範囲第1項記載の測定法。

11 一価の正電荷イオンがナトリウムである特許請求の範囲第10項記載の測定法。」(特許公報(以下「公報」という)参照)

二、本件発明の構成要件

本件発明の構成要件は、以下のとおり分説するのが相当である。

(1) 動物血漿、血液凝固第ⅩⅡ因子活性化剤、電解質、被検物質、から成る溶液を混合させ、

(2)次いで該反応におけるカリクレインの生成を停止させるために、生成したカリクレイン活性には実質的に無影響で活性型血液凝固第ⅩⅡ因子活性のみを特異的に阻害する阻害剤を

カリクレイン生成と反応時間の間に実質的に直線的な関係が成立する時間内に加え、

(3) 生成したカリクレインを定量すること

(4) を特徴とする被検物質のカリクレイン生成阻害能測定法。

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